やさしさに触れて
白い光が部屋に入り込む。私は眩しさに手を翳す。
意識がはっきりしてくると思った。
だるい・・・。
それに何だか体が火照っている気がする。
心なしか頭もズキズキと痛んでいる。
瘴気でも体内に入り込んでしまったのだろうか?
私、安倍は、安倍吉昌の長女で、三男で、弟である昌浩とは四つ歳が離れている。
安倍家は陰陽寮の人たちと違い、ずば抜けた見鬼の才がある。
そのためか分からないが、私は幼きころより瘴気に当てられやすい体といれていた。
しかし最近は結構平和で、そんなに大きなあやかしは現れていないはずなのだが・・・。
それにここ、安倍邸は彼の有名な安倍清明の結界で守られているし
さらに私のいる離れは二段構えで結界が張られている。
やすやすと瘴気など入ろうはずもない。
つまり・・・
風邪か――・・・
さすがに書き物を遅くまで、それに薄着でしていたのが悪かった。
世話係の太裳にも言われたのに。
これじゃあ・・・
「宵藍に怒られちゃうな」
「俺がなんだ。」
私は驚いてかざしていた手をどかすするとすぐ近くには、じい様が私につけた護衛(見張り)の十二神将が一人木将青龍が腕を抱えてたっていた。
「それで、お前は俺に怒られるようなことをしたのか」
「いや・・・その・・・あの・・・」
とてつもなく言いにくい。
だって眉間にいつになく多くしわを寄せて怒ってるんだもの。
すると世話係の太裳が顕現した。
「様、やはり風邪を召されましたね。ですから薄着で夜更かしなどやめるように言いましたのに。」
「・・なに・・?風邪だと?」
すると宵藍は私の横に座ると額に手を載せた。
するとため息をついて
「このたわけが。こんなに熱いのになぜさっさと呼ばない」
「うぅ・・ごめんなさい・・・」
さすがに今回は私が悪いから何もいえない。
すると太裳は晴明様に報告してきます。といい、穏行した。
「たく。お前は露樹が同じ風邪をこじらせていると知らなかったのか?回りに風邪がいたら、気を使うものだろう。」
「うぅ・・だって。お返事かかなきゃいけなかったんだもの」
そう、私が夜更かししてまで書いていたのは、道長様よりの縁談。
それのお返事。お断りするのには早いほうがいい。
「・・・。風邪が治るまでずっと見張っているからな。」
「それって。宵藍が看病してくれるってこと?」
不器用な宵藍だからこそ、見張るというのだろうけど
「ふん。太裳なんかにお前の看病なんかさせられるか。」
「宵藍・・・。それって」
「いいから、寝ろ。早く治せ。……そろそろ庭の桜が咲くだろう。どうせお前のことだ花見でもするんだろう」
「じゃ、治ったら一緒に見ようね?」
気だるさからか自然と眠くなり、目を閉じた。
「おやすみ・・・。」
end
おまけ☆
「ほぉ。宵藍が、の看病とはな」
「えぇ、自ら買って出たようです。青龍は、変わりましたね。」
「まぁ。愛は人を変える。まぁ、あやつは、神だがな。」
といい。晴明のちかくに控えていた神将たちで笑っていた。