6.陰陽師の試練
陰陽師とは・・・
必ず誰しも通る道がある。
晴明がそうであったように吉昌にも吉平にも、成親も昌親も
そして昌浩も通った道がある。
誰にいうこともできない口にだすことができない
悩み。
その悩みこそ違えど。
かならず通る道だから。
「じい様。おはようございます。」
「おぉ。おはよう昌浩。」
朝になると、昌浩は晴明の元にとたずねた。
「あんまり変わっていなくてほっとしました。たしかここって塗籠でしたよね?」
「そうだの。今じゃ、あの陰陽術の書などもほとんど残っていないと六合が教えてくれたしの」
陰陽術の書がない。師も居ない。それでは
たしかには能力を発揮することができないだろう。昌賢にもいえることだが。
「そうだ、じい様。今のって陰陽師としての分岐点にいるんですよね?」
「・・・・そうだの。儂や昌浩とは違う問題じゃな。今回はだけでなく神将たちにも言えるようだしの。」
神将たちは人間ではない。
も人間ではない。
だがも神将たちも人間でもある。
神の眷属であり、人間でもある。
だからこそ難しい。
「昌賢さんがいっていました。小さい頃は神将たちがを育てたって。」
「朝昼は稼ぎにいっておるし夜は調伏しとったようだの。霊力や見鬼の強いを守るのに。」
神将たちは主ではない昌賢に力を差し出さなかった。
そして当時主候補だったを守るというのが最低限の助力であった。
「俺がじい様を超えたかったように、もまた俺やじい様を超えたいと思っている。」
「そうだの。力の水底は尽きぬほどもっているが、調節できないから倒れたり不安定だったりする。
それが安定すると。・・・・ひょっとすると。すぐに超えられるかもしれんな。」
そうですね。とにっこりと微笑むと庭をみる。
庭では、天后や天一、太陰と玄武が
洗濯物を干していたり、風や水の気配を読んでいたりしている。
「昌浩。ここにいたのか。」
「紅蓮。・・・・紅蓮は解っているんだろう。のこと。」
「まぁな。天空や太裳から聞いたわけじゃないが、俺はそういうのに昔から敏感だったようだ。」
そういうと。ニッと笑う。
「いざとなって守るのは、だけじゃない。俺は晴明も昌浩も全員助け出す。大事なものは多いから強くなれる。」
俺は・・晴明に、昌浩に救われたように。
またにも救われている。
守るべきものは多いから。
自分の力を発揮できる。