5.いつか必ず
青龍は、しっかりとを抱きしめていた。
泣き続けるをどうしたものかと思いながら、
自分の言葉の足りなさに少し苛立ちを覚える、
こんなにも泣いているのは、己のせいではないだろうか?
不安にさせていたのではないだろうか?
「・・・。」
流し続ける涙を指で掬ってやれば、はしっかりと青龍を見ていた。
「宵藍・・・。私・・・私は・・・」
「ひとまず、落ち着け。だいぶ目が赤くなっている、なにか冷やすものをもってこよう。」
あのままで何か言おうとすると、きっとまた泣いてしまいそうだったから。
部屋を出て、すぐのところに太陰と玄武、そしてほかの神将らがいた。
「青龍・・・。あのね。・・どうだった?いつもと様子違ったから・・・。」
「晴明や、昌浩が不安がるなら、行けといったから、我らは来たのだが、その・・・なかなか入る勇気がなくてだな。」
なんとなくだけど、なにか入ってはいけない何かがあったのかもしれない。
主の泣いているときは、太陰や玄武ではどうしていいかわからないから。
「なにやら、翁と太裳は把握しておるようなのですが、問い詰めてもなかなか口を割って下さりませんでした。」
天后が、苦笑している、今にも泣きそうな顔をしている。
それほどまでに、みな、神将たちはが大事だから。
それは、千年振りに現れた主だから、情が深く入り込んでいるのかもしれない。
でもきっと、それはだから。
「とりあえず、冷やすものをと思ったんだが」
いま、すべきことを、と思ったら、天后がすっと濡れたタオルを渡してきた。
「なんとなく・・・ですが必要だとおもったのです。水将ですから、様がなにか・・・と思ったのです。」
泣けば、あの清浄な月の女神の血を引いているの涙は聖水のようなものだから。
それを察知することができた。
「あぁ。」
青龍はそれを受け取ると、の部屋へと入る。
そしてその後ろをついていく神将たち。
「・・大丈夫?なにか辛いとか、痛いの?」
「どこかいたいのであれば、天一を呼ぶが。」
「太陰・・・玄武。大丈夫。ありがとう、悪夢みただけだから。」
「本当に大丈夫ですか?ご無理をなさってはいませんか?」
「・・・お前は、本当に無茶をするからな。」
「天后。うん。大丈夫。もう。紅蓮も心配しすぎだよ。」
私はなにを不安がっているんだろう・・。こうやって、みんな心配してくれているのに。
私って馬鹿だな、
「宵藍・・・。あのね。」
「・・・・言いたいことがあればいつでも聞いてやる。したいことがあればできるけ叶えてやる。不安があれば俺たちは傍にいる。」
一人で背負うな。と青龍はいう。
神将たちもそれに頷いた。
は、胸のうちからほんの少し、黒いもやが晴れた気がした。
「いつか・・・話すから・・・それまで、待ってて・・みんなも。」
「あぁ。」
「それがの望みなら。」
いつか、
この気持ち
不安のすべて
語れる日を・・・。