2.変わったこと
晴明と呼ぶ声と。昌浩と呼ぶ声が聞こえる。
神将たちはすぐに駆け寄った。千年前の主の下に。
「昌浩!本当に昌浩なのか?」
「紅蓮?そうだよ・・・俺は安倍昌浩だけど。そっかここは千年後だったね」
昌浩様の手をとり、確認する紅蓮。
「・・・・晴明様。」
「ほれほれ、天后、天一なくでない。朱雀に怒られてしまうではないか」
晴明様の前に立ち泣きそうな顔をする天后と天一。
千年ぶりの再会。というところだろうか。
ただ、私はその輪には入れないけど。
ふと、横をみると、天空と太裳だけが動かずにいた。
「天空と太裳はあっちにいかいないの?」
「わしの今の主はだからな。」
「えぇ。片時も神将全員が離れてはいけないですし。」
とにっこりと微笑む天空と太裳。
二人はしっているから。私が晴明様や昌浩様を超えられないと泣きついた
幼いころを。
異界にと逃げ込んだ私を。
「宵藍?」
ずっと、立ち尽くしたままの宵藍が、心配になっていた。
宵藍は、あいた口がふさがらないという感じだった。
『感動の再開というわけだな。』
「高淤の神。師って晴明様と昌浩様ですか?」
『あぁ。晴明だけをよぶべきかと思ったが、それだと逝ってしまった昌浩が不憫だ。それに私はあの幼子が気に入っている。』
高淤の神にとってはいつまでたっても幼子らしい。
ひとまず、私は、二人に挨拶することにした。
私があるくと同時に、天空と太裳も動き、宵藍は、慌てて後ろを歩く。
前にいた神将たちは道をあけて私を見ていた。
「お初お目にかかります。晴明様。昌浩様。安倍と申します。」
「高淤の神からきいておるよ、今の神将たちの主だそうだな。」
「女の子が主なんだ。・・あ別に、おかしいって言ってる訳じゃないよ?」
晴明様と昌浩様がにこりと微笑んでいる。神将たちの前の主はいい人たちだといつも聞かせれていた。
何が過去に起こったのかも、どんなことがあったかも。
たくさんの昔話を聞いた。
「晴明様と昌浩様。時を移動したわけですしお疲れでしょう。どうぞ我が家でゆっくりとなさってください。といっても私の家は平安の時代より修繕はしておりますがあまり変わってはいないと思いますが」
「ほお。それは興味深い。神将たちの話も聞きたいしな。どうだ昌浩。」
「そうですね。俺とじい様はさんに術を教えるために来たわけだから。」
『まぁなにかあれば貴船にくるといい、できる限りはしよう。』
「ありがとうございます。」
大人数のため、太陰と白虎にわけて、家に帰ることにした。
お年寄りに気を使って、晴明様と、六合、勾陣。白虎。天一、朱雀。
私と昌浩様。紅蓮と宵藍と玄武と太陰。
天后と太裳と天空はひとまず異界に戻るといっていた。
そして、先に父さんに情報を伝えるために。
太陰と白虎の風流は安倍の庭へと到着した。
「うわぁぁあ」
と昌浩様が体制を崩し紅蓮が助け、玄武は池に落とされ、私は宵藍に姫抱きされていた。
「ありがとう宵藍。」
「あぁ。・・・・太陰。もう少し加減をしれ。」
「うっ・・・ごめん。昌浩がいるっておもったらうれしくってつい。」
「うれしくってつい。ではない!我は池に落ちたのだぞ。」
「水将なんだから別にいいじゃない!」
「そういう問題をいっているわけではなかろう!」
と太陰と玄武が言い争っているのをみて昌浩様はくすっと笑った。
「どうやら、千年後もみんな変わってないみたいだね。」
というと太陰はすごい勢いで首を振る。
晴明様たちもすこし場所は違えど到着し、こちらに向かってきた。
「晴明も昌浩もね。千年後の私たちはすくなくとも変わったわよ!」
「それはそうだの。形あるものは変わる。宵藍もだいぶ表情が穏やかになっとるしのー」
と笑うと懐から扇子をだしバッと広げた。
「そうそう。青龍はねと恋人なのよ!」
「えぇ!?」
「ほぉそれはそれは興味深い」
驚いて声を出したのは昌浩様だ。晴明様はひげをなで感心している
ひとまず、いろいろ積もる話があるために玄関に向かった。
玄関には、天后と太裳。そして父さんがたっていた。
「お帰りなさいませ様。晴明様。昌浩様。」
「はじめまして、の父親です。」
と玄関で話すのもなんだということで居間に場所を移した。