3.都合のよい話




「連れてきたはいいものの、いったい太陰たちをなんと説明すればいいのだろうか。」
「我らはこの世界ではたとえにくいからな。」

神と、ひとくくりにしてもいいけれど。ここの世界の神ではないから。
玄武がうなづく。

しかし、困ったものだ。
神将たちが異界へといく道が閉ざされた今。
常に神将たちとともに行動しなくてはいけない。

ずらずら十二人。
普段ならうれしいけれど、ここは知識が薄い世界だから。


「そうだね、君たちは別にこの国に悪さしよう、ってわけじゃないんだろう?」
青年がふと語りだす。

「はい、悪さするなら、知り尽くした国に進入してますよ。姿を見せずに。」
「そうだね、さきほどのことといい、説明をしてもらいたいけれど。簡単には手の内を見せてくれそうにはないようだし、ここは見逃してもいいじゃないかい?秀麗殿。」

「そうですね・・。上から人が降ってくるなんて前代未聞ですが、それがなにか問題があるというわけでもないですし。」

いや、通常なら問題ありありだろう。
しかし彼らは、どうやらいい人。に部類されるらしい。





「よかった。」
様・・・。」

神将たちも主がほっとすると、安心したようだ。
それにしても、先ほどから、このあたりが変な感じがする。

「・・・すみません。こちらまで一緒に同行してもらって。白虎。もとの場所へ。」
「あぁ。」

「あ、まってください!」
すると少女が必死にいう。
「このあたりは変なものがでるとうわさされている場所なんです。宿がなければ、私の家を提供しますから。」
「いや、秀麗殿。この人数だ。私の家のほうがよさそうだ。」





「あぁ、自己紹介がまだだったね。私は藍楸瑛、」
「私は紅秀麗よ。」

「安倍、です。そばに控えているのは私のし・・家族です。」

式神、といいそうになってあわてて、家族。という。
ここには式神なんて言葉はないだろうから。

「というわけだ。じゃ、私の家まで一緒にいこうか殿。」
「はぁ。お世話になります。」

なにかしでかしたら、すぐにその家からでればいい。と単純に考えていた。
しかし、その間もずっと青龍は楸瑛を睨み続けていた




その男の家につくと、一室を与えられた。

「あの、楸瑛さん。」
「なんだい?」

「霄って人しっていますか?」

すると、ガタガタガタと音を立てて崩れ落ちる。
どうやら知っているようだ。

神将たちも視線を向ける。

「きっと、霄太師のことだね。なんだい君は太師に会いに着たのか。ならば明日つれていってあげるよ。」
「はぁありがとうございます。」






なんだろう、うまく行き過ぎている気がする。
すぐに目的の人が見つかるなんてぜったい何かあるな。

「それじゃあ、今日はゆっくりやすむといいよ、なにかあったら呼んでくれ。」
「ありがとうございます。」

軽くお辞儀をすると、楸瑛は去っていった。
なにからなにまでうまく行き過ぎている。

高淤の神がそんなことするだろうか。





すると、天空が口にする。

。異界への繋ぎ目が見つかった。我らは異界に潜んでいる。」
「本当?わかった。」

すると、太裳、天后、天空。天一、朱雀、白虎が異界へと足を勧めた。
残ったのは、闘将と玄武と太陰。


なにもかもうまくいっている気がするが、ただの気のせいということもある。
陰陽師の勘はたしかにあたることも多いけど、当たらない事だってあるから。





すると、宵藍がいきなり腕をひっぱってきた。

「え?宵藍?」
「あの男に・・・近づくな」
「?」

「あれはお前を見初めている気がする。」

眉間にしわを寄せ、私を抱き寄せる宵藍。
私は、宵藍の不安がさるようにいう。

「私は宵藍しかみてないよ?」
「・・・そうか。」





少し安心したようだ。
言葉にしないとわからないとあの時学んだから。
だから、安心させるためなら何度だって言うよ。
 


宵藍。私はね


宵藍が一番大好きなの。


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