1.わがままな神




高淤の神に借りなんてつくらなければよかったよ・・・


ここはいったいどこ!?

高淤の神に、ちょっとしたお使いを頼まれました・・;
異界にいた天空たちをもむりやり巻き込んで。

まったく何を考えているの!?


こうなるには、2時間ほど前をさかのぼる。




夏休みだから、という理由で、いつもより少し遅くまで寝ていた私は、
宵藍にたたき起こされていた。

「・・・おい」
「んー・・」

「起きろ。」

宵藍と恋人という関係になってからは、朝起こすのは彼の仕事になっていた。

「・・・・」
「・・・・・・・・・んー・・・しょら・・・?」




ぼーとしているところに、入り込んでくるのはKYこと安倍昌賢。
ガラッ

「おはよう〜!!わが愛らしい娘よ!・・・・青龍。お前はなぜいつものそばにいるんだー!これじゃあ、父と娘の親子水入らず。ができないじゃないか!」
「ダマレ三流陰陽師。」

「なに!?式なんかに言われたくないね!」
「お前の式ではない。式ひとつも持たぬ三流陰陽師。」

「・・・・う・・おはよう、なんで朝からけんかしてんの?」





目をこすりながらその様子を見ていると突然父親が抱きつく。

「あぁ。かわいい娘よ。こいつが父さんからをとりあげるのがそもそも間違いなんだ!」
「・・・というか私それほど父にまとわりついてなかったし。私を育てたのほとんど青龍や神将たちじゃない」

グサッ。
父親に100のダメージ。

「何を騒いでいるんだ。」
「家中響いていたぞ。おかげで恵梨たちがびっくりしている。」

紅蓮と勾陣がやってくる。
それにしても、ここの家って人口密度高いな。と思いながら。

「勾陣。これはがして。」

父親をこれよばわりする
勾陣がいつものようにベリッと引き剥がし簀子へ投げる。




と、着替えがすんだところで居間に集まると、父親が目の前にすわり改まって私に言った。

「じゃ、本題に入ろうか。先ほどな貴船の神の使いがきてな。すぐに高淤神の神にあいに行くように。」
「高淤の神ね。わかった。どうせ借りのことだろうから。簡単な調伏ですめばいいけど。」
「あぁ、しばらく父さんも夏休みだから、恵梨ちゃんと壱くんは任せなさい。」


壱君と恵梨ちゃんはまだ家にいる。といって壱くんが目を覚まさないから、まだ帰りたくないということらしい。
部屋数余ってるからべつにかまわなかったし。

「じゃ、すぐに行ってきます。太陰。」
≪聞いてたわ。庭で待ってる。≫

といい隠形していた神将は目的の場所に向かった。
私も軽く朝食をつまむと庭へ向かう。

そして、貴船へ。




貴船につくと待ちわびていたように高淤の神が待っていた。

『きたか。』
「はい。何用でしょうか?」
『借りを返してもらおうとおもってな。なに、簡単なことだ。闇淤神時代の知人がな。よい酒をもってるんだ。』

は?

「はぁ。もしかしてその酒をもらってこいってことですか?どこにいるんです。その人。」
『異界だ。といっても神将たちの住むような場所ではない。まったく別の世界だ。霄。というものを探せ。あぁ。心配するな。夏休み終わりには帰ってこれるだろう。』
「は?ちょっとまってくださ『安心しろ。神将は全員送ってやる。』」

問答無用。といわずに、異界への道を広げる。

「え、ちょと!高淤の神!?」
『あちらの一般知識、常識はついたときについている。お前はただ霄というものを探せばいい。』





それから、今に至る。
「はぁ、まったくここが彩雲国って国ってのはわかるけど。ここがどの州でどこにいるかなんて分かるわけないじゃない!」

確かにこちらにと飛ばされた瞬間、こちらのことが頭に理解できる。
ここは色の名を名乗るものが大貴族というところだ。

≪ふむ、儂等もさすがにこのような土地はしらんからな。≫
≪そうですね。翁。神将は生まれもってからあの地にいましたから。≫

天空の翁と太裳がうなずく。
一応、人目があるので、隠形している。

≪しかし、私たちにも知識が注いでくるとはおもってもみませんでした。≫
≪あぁ。国の現状はいまいち理解できないがな。≫

天一と朱雀が語る。






まぁ、とりあえず、探しましょう?



高淤の神のわがままな使いを早く終わらせよう。



とりあえず、今日のとまるところだ。
野宿だな。

「太陰、白虎上から野宿できそうな場所を探して。」
≪あぁ≫
≪わかったわ≫


神将たちとはこの土地で高淤の神のわがままを達成させるまでは帰れない。

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