7.半人前?



-忌まわしき、忌まわしい。我の愛しい渾沌様。-

-樹希羅。-

重苦しい。重苦しい。
あの小娘が、渾沌様を、四凶を倒した。

傀儡の術で、10ほどの手下をつけた。
人間の配下。

人間はもろい。
簡単に内へ入り込める。



-麗紕、あぁ。私の片割れよ。-


その姿は、そっくりそのまま映した姿だ。

ききら、れいび。
そう。どちらも異邦のもの。


双子のアヤカシ。


-奴等に最大の恐怖と裏切りを。-


瘴気を祓い。居間へと移動する
瘴気が出て行くときに見えた、その光景。

ピリピリとした、何かが体にいまだに流れている。
瘴気だけが体に入り込んだわけでないらしい。

様。大丈夫ですか?」
天后が心配する。私は苦笑を浮かべ、うなずく。

「うん。私にもっと力があればいいんだけどね。やっぱり私はまだまだ修行中の身だね。」
陰陽術については父が教えてくれた。
けれど、それもごくわずかだ。

あとは書庫からあさって調べたりするくらいしかできない。

瘴気を祓うことができても、この中のうごめいているものが祓えない。
やはり、これは本体を倒すしかないようだ。


「ほかの神将は今は・・。」
「天一と朱雀は恵梨の相手をしているようです。」

宵藍と、天后がここにいて、太裳と天空が異界にいる。
太陰と玄武は水を調べてもらっている。紅蓮と勾陣と六合と白虎は・・。

「あ。紅蓮。」
うわさをすればなんとやら。
紅蓮が勾陣と一緒にやってきた。

。今日は六合が晩飯当番だそうだ。」
「和食か。恵梨ちゃんも和食すきだからよかった。」

つまり、いま六合がキッチンにいるのか。
よく考えれば、神将が、それも闘将がキッチンでおたまをにぎってる姿をみるとおかしい気もする。

さすがにエプロンとかつけないけど。




「あれ?白虎は?」
「あぁ、なんか水を調べにいった太陰が、魚が大量にとれたから白虎を呼んだらしい。」

同じ風将だと、遠くにいても言伝をつたえることができる。
魚料理か。


と考えていると、居間へとついた。
主の姿をみつけると、自分のいた場所を開け、後ろへとさがる天一と朱雀。

「恵梨ちゃん。またせてごめん。」
「いいよー。天一と朱雀が相手してくれたし。」

とにっこりと微笑む。



私はその姿に少し安心すると、恵梨ちゃんの前に座る。
「じゃ、瘴気をはらってしまうね。」

私はそっと手をかざす。

「この声は我が声にあらじ。この声は、神の声。まがものよ、禍者よ、呪いの息を打ち祓う、この息は神の御息。
この身を縛る禍つ鎖を打ち砕く、呪いの息を打ち破る風の剣。妖気に誘うものは、利剣を抜き放ち打ち祓うものなり 」

光が恵梨を包む。

「ありがとう、なんか楽になったよ。」

肩に手をあて、首をごきっと勢いよく鳴らす。

「年寄りくさいぞ、恵梨。」

「こら、紅蓮。失礼でしょう。」
軽く、しかると、ちょうど、いいところに太陰たちが帰ってきた


「おかえり、太陰、玄武。それに白虎も。」
白虎の手には大量の鮎が。

「もうそれはもう新鮮よ。」
「太陰。だからといってわれを使うな。」

どうやら、水を操る玄武をつかいっぱしりさせたらしい。

「まぁ、これは六合にでも預けとくか。」
「うん。晩御飯楽しみにしてるって六合に伝えておいてね。」

「あぁ。」

といい、隠形する白虎を見送り、玄武を見る。
「で、水付近は大丈夫だったの?」
「水にはとくには何も感じられなかった。我と太陰との推測であるが、高い位置にいるのかもしれん」


高い位置。ならば、空にでもいるのだろうか、風が重い感じがするといった風将の言葉も一致するかも知れない。



「あとで闘将をつれていってみるわ。」
「あの・・・?」

いきなりで話についていけない恵梨ちゃんを見る。
そして首をかしげる。

「あのね、無理はしないでね。」
「うん。大丈夫。一人じゃないから。」

大事な神将たちといっしょだから、大丈夫。
彼らは私を守るし、彼らを私が守る。

そういうと、安心したように微笑む恵梨ちゃん。


それにしても、先ほどの映像が気になる。
やはり、これは解決するまで、かかわっている恵梨ちゃんを近くで守る必要があるだろう。

「恵梨ちゃん。この事件が終わるまで安倍邸にいない?」

突然の提案に神将たちと恵梨ちゃんは驚く。

「どうしたの?」
「恵梨ちゃんは狙われている可能性が高い。だから・・・。」

もし、私のせいで、彼女が狙われるようなことがあれば絶対に後悔するから。



「わかった、あとで母さんに電話しておくね。母さんもを頼りにしてるんだから。」
「そんな、私はまだ半人前だよ。」

すると、紅蓮がぎょっとする。

「お前な。あれほどの力をもっていながら半人前とは・・」
「こいつは目指すところが高いのだろう。」

勾陣がすかさず口を挟む。

ふと、後ろを見ると、神将たちが自分のことがわかっていない。とあきれていた。

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