3.玄武編




もう主なんてできないと思っていた。

晴明や昌浩から急に霊力と見鬼が薄れた。
我らは特に主がいなくてもよかった。

けれどどこかで求めていたのだ。
主を。


「げーん。」

我をそう呼ぶのはただ一人。主候補のだ。
まだ、言葉があまりいえない。そんな年のころだ。


誰もが驚くことに、を育てたのは神将だが、
それの代表があの無愛想な青龍だった。

母親が花と氷を象徴する月の女神だからか、
木将と水の性を持つ青龍が一番のお気に入りらしかった。

我は、が、遊びたいというときの係りだった。
太陰と一緒に。

さすがに青龍は遊びごとはむかないらしく。
我らに任せてじっとを見守っていた。


水将の我とも、相性がいいのかは、たびたび我を呼ぶ。
太陰はなぜ自分ではないのかと、いらだっていたりした。




次第に、言葉も話せるようになるにつれて、神将のみんなと仲良くなっていった。

我は少しだけ、悲しくなった。
青龍の次であっても、遊ぶのは我の役目だから。


でも、が笑ってくれるなら、あの愛らしい笑顔で、
我を呼ぶその姿がある。

それだけで十分だ。

我は、騰蛇や六合や、青龍や太裳のような青年の姿ではない。
子供の姿だからこそ、にできることがある。

そう。信じて・・・。

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