9.無敵少女
弥都波の神から窮奇の居場所を知らされてから、たちはひとまず家に帰った。
窮奇は昔と同じ巨椋池にいるという。
それは、なにかの作戦なのか。
それとも・・・?
「、ちょっといいか?」
顕現した勾陣が部屋にいたをリビングへと手招く。
「どうしたの?」
そこには、闘将と、太陰、玄武、太裳がいた。
「昔、窮奇は水面の裂け目にいた。そこの中は異次元空間のようなものでな。一緒にもぐりこんでも同じ場所にたどり着けるとは限らない。」
「そうなんだ・・・。」
すると、ニッと紅蓮が笑っていった。
「大丈夫だ。俺たちがお前を守る。」
「?」
よく意味がわからないといった風には首をかしげる。
太裳が微笑みながら何かを差し出す。
「様。これを。」
そこにあるのは、銀色の腕輪。
よく見ると小さくだが、色とりどりの石が埋まっている。
「その石は私たちの神気がより強く入り込んでいる。天空作だ。」
「そうなんだ。じゃこれ、みんなの力でできてるの?」
わざわざ皆がこの石を作ったのだろうか?
「はじめは騰蛇だけがやるとか抜かしたのだが、自分の主
が少しでも守れるようにと全員が協力したんだ。」
と勾陣がいう。
すごくうれしい。みんなが私にここまでしてくれるんだもの。
私はそれに答えないといけない。
「翁からは、その腕輪をつけ、念じれば降魔の剣の代わりが出てくるそうです。」
「代わり?」
「あぁ。そのときになればわかる。」
「それをつけていれば、お前がどこにいるのか分かる。」
そう。いった神将たちを信じて。
巨椋池まで太陰の風で移動すると。
そこにはすでにお出迎えが来ていた。
-来たな。方士の血族よ。-
「窮奇!」
-相手をしてやれ-
そういうと異形が池から湧き出てくる。
闘将がそれぞれ武器を出し切り裂いていく。
太陰は風をおこして攻撃している。
すると、前の方から異形飛んできた
「オンアビラウンキャンシャラクタン!」
一気に真言を唱える。
すると、足に変なものが絡みついた。
「!?」
「!」
紅蓮の声が聞こえる。
次の瞬間、私は水面の中に入っていった
暗い。暗い。
気持ち悪いほど不気味なところだった。
死霊たちがうようよしている。
しかも匂いが臭い。
「それにしても、本当に気色悪いところ・・・」
そうつぶやいたのも束の間、後ろから大きなものが向かってくる。
あれは・・・。檮木兀だ・・。
「と・・こつ・・。」
-ほう。名を知っているとはな。-
ふと、頭に紅蓮たちがうつる。
闘将たちは水面の中に入っているらしい。
場面が切り替わるように流れる。
窮奇と戦っている紅蓮と六合。
饕餮と戦っている勾陣。
渾沌と戦っている宵藍と太陰。
地上で後から着たであろう朱雀たちが戦ってる。
-お前たちはかつて窮奇と戦ったそうだな-
「私は戦ってないわ。戦ったのは神将のみんなよ」
-窮奇は我らの恥だ。-
「何をいっているの?」
-それは、これから死ぬお前には関係ないだろう。-
といい。虎の体をしたそれは襲ってきた。
皆!
神将たちを心配していると、腕輪が光り形を変えた。
それは、鋭く美しい形をしている。
「桜花月姫召還!」
そう、それは剣を媒体として。神を呼ぶものだった。
「舞華撃破!」
花びらの形をした刃が檮木兀を襲う。
-オオオオ!小娘がぁああ-
檮木兀の爪が私に降りかかる。
そのとき、饕餮と戦っていたはずの勾陣がここにいた。
爪を筆架叉でとめている。
「勾陣!」
「待たせた。」
「饕餮は・・」
「あぁ、あれか、少しばかりな侮辱されたから本気を出した。」
どうやら、主の悪口をいった饕餮に本気でぶち切れて、
一人で倒してしまったらしい。
闘将が本気を出せば簡単に倒せてしまうのか。
よく気づけば、勾陣の体にはいたるところに傷があった。
やはり、相当苦戦していたのだろう。
-貴様!よくも饕餮を!-
そういった檮木兀を足止めする。
「縛縛縛、不動縛!縛縛縛、不動戒縛、神勅光臨!」
-なに?!-
その瞬間、は天空からもらった剣を檮木兀に突き刺した。
すると、目の前に窮奇が現れる。
どうやらこの空間はすべてつながっていたらしい。
渾沌を倒した宵藍と太陰が紅蓮たちに加勢していた。
-よくもわが同胞を!-
窮奇は腕を振り上げると紅蓮と六合が吹っ飛ばされた。
「紅蓮!六合!」
岩に紅蓮と六合がたたきつけられる。
そのとき、すべてが凍りついた。
「・・・くも・・・」
「?!」
太陰の声が聞こえる。でもとめられない。
神気があふれ出る。
「よくも、大事な家族を傷つけたわね!」
瞬間、周りがすべて凍る。神将たちはただ黙ってみているしかできなかった。
いや、動けないのだ。神気が爆発的に開放されている。
無理に動いたら、それこそ、に危険が及ぶ。
「はぁあああああああああああああああああ!」
窮奇に剣が振り落とされる。
窮奇は凍りつき消える。
二度と生き延びぬようにと、すべてを凍らせて消滅させた。
結局、窮奇たちは、偉大なる女神の娘にはかなうはずもなくあっけなく倒された。
神を生む神の力は計り知れない。それの娘なのだ。
なんという少女を主としてしまったのだろうか。
けれど、それこそどうでもいいことだった。
神将たちには、彼女が人だろうと神だろうとどうでもいいのだから。
窮奇らを調伏したは強大な神気を発動させたからか一気に意識を失う。
六合がすかさず抱きとめる。
神将が傷つけば、は本来の力を出す。
それほどに、彼らが大好きなのだから。
そして彼らもまた。主が大事なのだ。
-おまけ-
家に運ばれたは寝ていろと宵藍に無理やり寝かしつけられていた。
「結局転校してまでこなくてもよくなったね。」
≪・・・お前の父親がいうには、休学届けをだしたそうだ。≫
「は?」
≪さっさと調伏して帰ってくることがわかっていたらしい。≫
≪けれど、あちらの学校では在籍しているから、どちらでも選べるということらしい。≫
勾陣が説明する。
≪まったく、お前の父親は狸だな。≫
「うん。殴りたい。」
にっこりと笑むと太陰がおびえている。玄武も真っ青になって。
≪わ、我はが怖い!≫
≪私だって怖いわよ!≫
まぁ。聞かないでおいておこう。
結局、高唹の神と弥都波の神が数日間いた学校のものの記憶を消して、元のいた学校へと2週間後元気に登校するの姿があった。
窮奇編完結