4.大事な人たち
-贄だ・・・。あの忌まわしき方士の血族を-
かつて、昌浩に調伏された、異形。
窮奇。その姿は、翼の生えた虎だ。
-手間取っているものだな。窮奇よ。-
-まだ傷は癒えぬか、千年もよくまぁ癒しに徹底していたものよ。-
-我らの中で一番しぶといやつだ。窮奇は。-
大きな犬の姿をしたものが、前にでてきた。
その後ろを黒い妖気で囲まれた二つの影が追う。
-こ、渾沌、饕餮、檮木兀-
こんとん。とうてつ。とうこつ。
そう呼ばれたものは窮奇と同じ大きな体をして、ある地では四凶と呼ばれている。
-流石にわれ等にはお前の愚弟を救えない。-
-別にあれの心配はいらぬ。-
-そうだ、いいことを教えてやろう・・・。-
朝の目覚めはとても悪いものだった。
陰陽師の見る夢には意味がある。
そう、幼きころより紅蓮にいわれていた。
「なんだったの・・・。あれは・・・。」
≪様?どうされました?≫
予定の時間よりも早く起床したを気にして、天后がやってきた。
「んー、大丈夫。夢見ただけだから。」
≪・・・夢ですか?≫
すこし眉をひそめる天后をみては、にっこり微笑む。
「大丈夫、きっと、布団に慣れてないからだと思う。」
高唹神に依頼されて、南の地へと足を運んだ。
さすがに説明が難しいので恵梨ちゃんには、なにも言わずにいた。
まぁ、高校3年生の途中からはいる私は、さぞかし不思議がられるだろうし。
第一。心配かけたくない。
新しい制服に着替えリビングに行くと、紅蓮が立っていた。
「俺はこの姿でそばに控えている。」
すると紅蓮は物の怪の姿になった。
先祖の昌浩様がいうには、物の怪だからもっくん。らしいが。
「お前はそのままで呼べよ。」
と先に釘をさされてしまった。
「それにしても・・・。なぜ朝から勢ぞろい?」
そう、リビングには、天空以外の神将が勢ぞろい。
わざわざ、顕現して。ここの家は、見るからに豪邸。
私の家はそんなにお金持ちではない。
ここは、父の働いている会社の社長が貸してくれたものだ。
少し前に社長の所持していた呪物を払ってあげたお礼だそうだ。
社長は、なんというか、オカルトマニアらしい。
怖いもの知らずで何度も呪物を持っていたこともあったらしい。
その豪邸では、神将たちが顕現してもとても広い。
「私は、の朝食を」
「俺は天貴の傍に。」
朝から暑苦しいほどラブラブだ。
「我は、太陰が転校初日のを見送りたいといっていたのでな。付き添いだ」
「なによー。」
「これらの保護者だ。」
と白虎と玄武と太陰は親子のようだ。
「私は、本日の護衛で。」
「・・・。」
「・・・。」
太裳と宵藍と六合。木将二人は無言だ。
「私はただ面白そうだったからな。」
と勾陣は笑っていう。
みんな結局、私を気にしてくれている。
私はそれがとてもうれしくて仕方がなかった。
「それじゃ、ご飯食べたらさっそくいきますか。」
ここには暖かいものがある。
私はそれを守るためなら何を犠牲にしてもかまわない。