2.貴船の神と狐の妖



ひとまず、家に帰り、戦闘をいつでも開始できる体制へと整えた。
闘将4人と結界をはれる神将をつれていく。
これで、妖狐対策は大丈夫だ。

しかし、これから戦いに行くというのだが、その前に大事なことが・・・。



貴船。



「高位なる貴船の竜神よ。姿をお見せいただけないでしょうか?」

すると、膨大な神気が現れる。


か。この姿では久しいなというべきか?』
「えぇ。先日は龍の姿でしたから。」

というか、龍神なのだから、そちらのほうが本当なのだろうけど。
でもこの美しい女性の方が強そうなイメージがあるのはなんでだろうか。

『もしや、今日は調伏の日であったか?』
「えぇ、学び舎に現れる妖狐を。」

なんでもお見通しなのがこの貴船の龍神だ。
ここに初めてきたときに、お前は女神の娘だろう。といったのだ。

「それで、高唹神。ようは何なんだ。」
『相変わらずの口の利き方だな騰蛇。それは、狐が退治してからの方がよさそうだ。』

「はぁ・・。」
『ずいぶん話し込むからな。ほれ、さっさと退治て来い。』

手をしっしと振る。




「では、また後ほど。」
『あぁ。そのときは神酒でももってこい。』

いうだけいって、そのまま消えた。

「まったく、人使いの荒い神だ。」
「紅蓮。聞こえるよ。・・・・。白虎」

少し離れた先に風将を呼ぶ。するとすぐに筋肉質な神将が現れた。
隠形してついてきていた。

「学校まで運んで?」
「あぁ。」

よっぽど急ぐことがないかぎり、太陰を使うことを避ける。
太陰を使うと。呪符がなくなることがたまにある。



学校。


下校を終えた生徒。学校の教師も今日は飲み会だとかで学校に人はいない。
たまたまだった。PTAの飲み会と教師の飲み会がかぶさっていたのだ。

自分の父親もそれに参加するからわかることだ。

学校は誰もいない。
好きなだけ暴れられる。


しかし、近隣住民に通報されては困るので、人払いと、防音の結界は張っておく。




教室。



自分の教室の隣の教室から、邪気が感じる。
紫というか黒いというか、そんな感じの禍々しいものが見える。




「気をつけろ。奴は早い。」
「うん。宵藍と紅蓮。間違っても机とか壁とかに被害を加えないでね。」

いつだったか、ちょこまかと動くウサギのような妖が出たときに、そのときの護衛だった紅蓮と宵藍と六合が捕まえられないとかいって
机を真っ二つにしたり、壁に焦げ痕がついたりと・・・。

大変だった。うん。
六合が結局器用に捕まえたからよかったものの、そのあと紅蓮と宵藍は喧嘩はじめるし散々だった・・。

今回は、それよりも大きいが早い。囲めるようにと闘将4人をつれて、結界をはれる太裳と玄武でうまく妖を捕らえられればいいと思ったんだけど。


「ここはやっぱり、体育館とか校庭とかに追い込んでやったほうがいいよね。」

「そうですね。やはり、こう物がありますと結界を作るのにも手間がかかりますし。」
太裳がうなずく。
「我もそのほうがいいと思う。また騰蛇と青龍が喧嘩しそうだ。」

どうやらあのあと異界でも言い争っていたそうで、天空の翁が一喝してもとまらず、
結局勾陣の拳骨を食らったそうだ。

結界組は平和主義だ。

「さて、じゃ、前の扉の方に勾陣がふさいで。六合は前のほうから後ろにつめていく。宵藍は体育館か、校庭にできれば追い込んで。紅蓮は私の護衛で」

「了承した。」

勾陣の声が聞こえ、ほかの闘将は無言でうなずいた。



3−C

教室の扉を両方あける。前の方から入り込む。

-マタキタカ・・・。ムスメ-

「今日は調伏するわよ。」

-ショウシ!オイツケマイ-

「黙れ!」
紅蓮が炎の蛇を作り出す。

ああ・・机が焦げる(泣
先生・・、私は無実です。悪いのは妖狐と紅蓮です。(泣

妖狐は、前足を振るようにすると風が向かってくる。

「波流壁!」
玄武が咄嗟に叫び結界を張る。


-チッ、-

妖狐は尾を長くすると、私たちの方に向かって、机やらを一気に尻尾で投げる。
イメージ的に野球のホームラン的な?
私は五芒星を前に描いていっきに跳ね返す。

その間に妖狐は、後ろの扉の方からでていく。ビンゴ!

「宵藍!」
「わかっている!」

宵藍は、校庭の方へと、追い込んでいく。

私たちは、必死に校庭へ向かう。
。勝手口から、先に校庭へ向かおう。」

勾陣が走っている前のほうの勝手口を示す。
「先回りね、わかった。六合と太裳。先にいってて」
「あぁ。」
「分かりました。」


校庭。
先に、太裳と六合がいたおかげで、妖狐とにらみ合っている間に、
宵藍と、私たちは校庭にこれた。

運動部でないからすこしばかりきついな。これいつもより走り回ってるし。
にらみ合っている今がチャンスだ。

「その行く先は我知らず、足を留めよ アビラウンケン!」

捕らえた!

-ナンダコレハ-

「逃げ場はもう無い。」
勾陣が武器を構えて妖狐を切り裂く。

すると、尾が伸びる。

「させるか!」
宵藍の大鎌が尾を切り裂く。


-ギャアアアアア。コムスメガァアア!-

「臨める兵、闘う者、皆陣列れて前に在り!」
すばやく九字刀印をきる。


妖狐は消えていった。
「はぁ・・・終わった・・。」
力が抜けて、その場に座り込む。

様。お疲れ様です。」
「太裳、六合。足止めありがとうね。」

「いや、怪我はないか。」
六合が、すっと私を立たせる。

「ないよ。大丈夫。勾陣も、紅蓮も宵藍も玄武もお疲れ様。」
「あぁ。」
「それにしても、随分と校内が荒れているが・・・。」

玄武の言葉さえなかったら現実を思い出したくなかったよ・・。



「紅蓮。ちょっと。」
「何だ?」

「教室でむやみに炎だすなって何回いったらわかるのよ!」
「いや・・その・・すまん。」

「その馬鹿になんどいったところで同じだろう。」
「まぁ、前回も同じことをしていたしな。」

青龍と勾陣が止めを刺す。

「お前らな!」

「紅蓮しばらく異界で反省ね。」


教室内を復元するの疲れるんだから。
しばらく反省してもらわないと。

≪太陰レベルか。≫

と玄武がぼそっとつぶやいたのは、そばにいた太裳が笑って聞いていた。


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