1.こっくりさんの妖退治
キーンコーンカーンコーン。
授業終了の鐘がなる。
「やーっと終わった〜」
≪とかいいつつ、お前半分聞いてなかっただろう。≫
隠形している紅蓮の突っ込みが入る。机の脇にいるようだ。
は隠形しててもはっきりと見えてしまう。
ただ、顕現したというのもわかる。
顕現してるときは、隠形しているときより神気が強いからわかる。
「うー。だって昨日の夜警でいつも以上に疲れてるんだもの。」
実は、昨日。学校付近に狐の妖が出たのだが・・・。
≪まさか青龍がついていながら逃すとは・・・。≫
六合がつぶやく。
昨日の護衛担当は、青龍と玄武だった。
例のごとくスピード戦だった。
狐はすごく早くて、すぐに逃げられてしまった。
「でも宵藍は私を守ってくれたし。」
狐の尾が私の首に飛んできたときにすぐに尾を大鎌で切り離してくれた。
≪主は何が何でも守る。神将たちは同じ気持ちでいる。≫
≪あぁ、それに陰陽師のお前の父親は頼りならん。≫
グサッ。
黙っていた六合と紅蓮が語る。
わが父親ながら、まったく頼りにならないと。
まぁ、霊力も見鬼も微妙なところだし仕方ないのだけど。
神将にこれほどまでいわれている親はとくに気にせず会社に勤務している。
陰陽師は副業らしい。
ガラッ
「おーい、〜。帰ろう!」
「あ、うん恵梨ちゃん。待っていま準備するから。」
恵梨ちゃんは隣のクラスだ。毎日迎えに来る。
6時間目の英語の教科書を鞄の中に突っ込む。
それにしても、自分のクラスメートの人たちにはびっくりする。
帰りのHRが終わると同時に消えていくから。
そんなに急いでなにがあるのだろうか。
部活のひとたちもいるけど。
「最近みんなすぐに帰っちゃうんだよねー。」
「え、あんた知らないの?」
すると、恵梨ちゃんは呆れながらいった。
その姿はどっかの木将のようだ。
「こっくりさんがはやっててさ。」
「・・・・ずいぶんまた古典的な・・・。」
こっくりさん、狐の妖・・・つまり昨日のやつか。
「それで、なんか一度やばくてさ隣の笹谷部くんが交通事故にあってから・・・」
納得。
みんな怖くなったか。
そして、さっさと帰るということか。
まぁ部活の人たちもいるから今は騒げないし・・・。
「今日の夜に決着でもつけますか。」
「頼んだよ?ここらで当てになるのってだけなんだから。」
父よ。副業でも。頼りになるようにしようよ。
私ちょっと父親の威厳ってものが欠けてみえてきた・・;
「よし、じゃ家に帰って準備しますか。」