参 背中






深夜に、妖の気配を感じて調伏しにきていた。
犬の妖で、すばやいが、簡単に調伏できる。と思っていた。

騰蛇や、勾陣など、ほかの神将も着いてくるといっていたが、俺一人でも大丈夫だとそういった。
闘将三番手、それが俺に乗っている。

つねに、背中に闘将三番手、というものが張られている。

戦うすべをもってしても、一番にはなれない。
しかし、晴明や、昌浩を守ることができた。

天命まで、神将たちが、守ることができたのだ。



昌浩の代から俺たちは主をもたなかった。
昌浩が、陰陽師になることを。自分の息子たちに強制しなかったためだ。

それに、そいつらも力の差はやはり、昌浩と晴明たちに比べてかなり低かった。
俺たちは、異界からただ、安倍を見守るだけにした。

千年ものときがたてば、安倍の出のものがどんなに増えたか。
もう。だれが、安倍のものだかわからないほどだ。

俺たちは、首都が東京にうつってから、俺たちも移動した。

といっても、妖退治以外は異界からほとんど出ていなかった。



久しぶりの獲物。そう思って、犬を追いかけていた。
すぐに片付けるつもりだったのだが、女が暗いこの路地にはいってきたときにもうそいつの獲物は、その女になっていたのだろう。

犬が、女に飛び掛る。
被害がでたとなると、あとあと、ほかの神将たちが面倒だ。

反射てきに、その女をかばう形になった。

「ちっ」

舌打ちをすると、犬の爪が腹部にえぐるように入っていく。
毒だ。

そう判断してから、次の瞬間目が覚めるまで、どうやら、その女に助けられていたようだ。
腹部に刺さっていた爪がなくなり、出血のために布で覆っていた。



その女は、 といったか。
父親が見鬼をもっていたのだろう、結界をはれるもの。といっていたから
少しは力はつかえるのだろう。と思っていた。

しかし、これ以上ここにいても怪我は治らない、異界で治そうと思い、ここから出ようとした瞬間。
窓がわれ、さきほどの、犬が入り込んできた。

とっさに大鎌を召還したが、ふと、光がを包み込むと、その瞬間犬が消えていた。

その光に、その力に覚えがあった。

それは、

「・・・昌浩?」





確かにいま出てきたのは昌浩の霊力だった。
も自分でしたことに驚いているのだろう。呆然としている。

ふと、あの犬がいっていたことを思い出した。
陰陽師の生まれ変わり。と。


ならば、こいつは、あの昌浩の生まれ変わりなのだろうか?

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