第六話 朱の明かり心の闇




部屋に戻ると、結界が張りなおされているのがわかる、

天空の結界だ。
晴明さんが戻るまで、張っていてくれているのだろう。


私は、部屋の真ん中に座った。
青龍は、話を聞くために私の前に座っている。

そういえばこうやって向かい合って話をするのは珍しいかもしれない。

高唹…、今ならわかるよ、あなたが私に玉を授けた理由。
だって・・・話すより見たほうが、説明しやすいものね

「青龍・・・受け取ってほしいものがあるの」
『・・・何だ。』

私は手の平を上にむけた。
するとそこに、玉がすっと現れる。

『それは・・・』
「私の過去。青龍は私のせいで傷つけてしまった。それで私の最大の過去を知ったなら、全部教えなきゃいけない。」

『お前のせいではない。』
「違うの。私の過去は闇だから、異形が集まってくる。だから私のせいなの」

私は、青龍の手のひらにそれを載せる。すると青龍の中にそれは消えていった。




記憶が・・・再生される。


私は、女神と呼ばれる母と、一般な人間の父親がいた。

でも、私は、人間だ。色濃く父親の血を受け継いだ。

母親は、会ったことなんかない。


私が、8歳のころ。それが起こった。私の神の部分が一部覚醒した。

そこに狙ってきたかのように化け物が現れる。

!》

駆け寄った父親は化け物から私をかばって死んだ。

当然、何もない場所だ。
近くに私がいた。

周りには見鬼がないひとばかり。

つまり。私が殺した。
そう、見える。


そこからは、父親の妹夫婦に預けられ、

《兄さんを殺した悪魔の子!母親もよくわからないあんたなんて!》

バシッ
ドカッ


虐待。



毎日毎日。

8歳から、ここに来るまで
殴られた。


そのわりに、私には痣ひとつ残らない。1日もたたずに消える。

また悪魔の子だといわれ、殴られる。

そこにすむ子供たちからもいじめられる。


当然、私と一緒に住むことをよく思わない父の妹夫婦は、

悪魔の子だと、世間体で預からないと私たちがなにか言われると、
毎日毎日罵声が浴びせられる。

どこからか聞きつけた学校の子供たちも私をいじめる。


それでも我慢できた私がすごいと思う。


私がここにくる前の日が私の死を決断させる出来事だった。


高校で、誰もいない放課後、

いじめ、わかっていた。
でもこの日が違った。


気持ち悪いくらいの笑みを浮かべた同級生の男子たち。


ちゃん・・・》

《逃げても無駄だよ。》

私を取り囲む男子たち。

私の手首と足を押さえつける

「止めて!離して!」

《誰も来ないよ。君には誰も助けてくれないんだから。》

《父親殺しのちゃん。》

ビリッと服が裂ける。
闇が迫る。





イヤァアアアアアア




私の声が響き渡る。
そこに叫び声を聞いた教師が入ってくる。


教師は、私をそこから出して、自宅に帰すだけ。男子たちはなにも咎められない。



そこからは、あの、貴船に向かう。
死を決断して…高唹にあった。

そしてここにきた風景へとうつる。


再生が終わると。


部屋には無言が続く。
不意に、青龍が口を開く。

『お前は・・・未来からきたのか』
「高唹に救われたの。」


正直、再生が始まったときに自分もあの過去をみることになるとは思わなかった。


青龍だけがみるものだと思ってた。


みたくなかった悲惨な過去。



『・・・つらいなら泣けばいい。我慢するな。』

「青龍・・?」

青龍は、私の腕をつかんで、引っ張った。私は青龍の腕のなかにいることになる。


『人間嫌いになるのもわかる。』

「うぅ・・・」

普段あまりしゃべらない青龍がこんなにも喋る、それほど私を心配してくれている。

もう、涙が止まらなかった。
私はずっと泣いていた。


高唹・・・青龍は私を・・・

過去をしっても受け入れてくれたよ。



私は、泣きつかれて、そのまま青龍の腕の中で眠っていた。



ことの次第をしって急いで帰ってきた晴明さんと神将たちが


私を抱きしめている青龍をみて固まっていた。


「宵藍や、泣いているを襲うとは・・・・」
『襲ってなどいない。こいつが泣きつかれて眠っているだけだ。』

『青龍。傷はどうしたんです?』
ふと天后が思い出したようにいった。


『あぁ、が治した。』


「ほほぉ、治癒ができるとは、さすがは、高おかみの神の友じゃの。なにも教えずにできるとは。」


女神の娘であることは、過去に関すること

青龍は何もいえなかった。


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