第四話 真実の火拒絶の氷




が高唹から玉をもらって1週間がたとうとしていた。

簀子にすわり星を眺めていた。

少なくても、の過去を知らないと一生懸命己に言い聞かせ、この家の人にはがんばって心を開くようにした。けれどそれでも少し無理がある。
「過去は変えられないもの。」

『過去は変えられずとも、先はかられる。少なくとも俺はそう思っている。』

「騰蛇。」
『お前は俺に似ている。つらい過去を持っている、孤独をしっている。』

十二神将は、にだんだんと心を開いていった。
心を開いてもらうには自分からと、そういわれたのだろう。
晴明さんに。

「私ね・・・自分がこの世で一番つらい過去だなんて思ってないの。だって、私よりもっとひどい体験をしたひとがいるはずだもの。」

私は苦笑しながらいう。

「ただね、思うの。つらい過去って、ずいぶん差があると思うの。でも、その人たちには同時に幸せもあるのよ?」

『そりゃあ、生きているからな。』

「でもね、私、幸せって思ったこと・・・ないの。生きているのが毎日苦痛で。楽しいなんて思ったことなんてないの。」

・・・』

「だけどね、たぶん、ここにきてから、少しうれしいって思ったの。高唹が友達になったから。」

「ここの人たちもね、ここの家族じゃないのにすごく優しいの。私が拒絶しているのに、それでも暖かく迎えてくれるの。」



「だんだんと、みんな私に優しくなっていくの。神将もみんな優しくて。・・・ここにきて初めて幸せって思えたの。」

『そうか。』

「でもね、もし、今この状態で過去を共有したら、きっと哀れみやら、同情しかなくなるんじゃないかっていう不安もあるの。」

『信用してないから、そう思うんだ。相手を信用することからはじめればいい。俺はそうするようにしている。』

物の怪の姿をした騰蛇はすっと本性に戻ると私を抱きしめた。

『時間なんか問題じゃない。お前はお前だ。過去がどうだろうとどうでもいい。俺たちはお前だから優しくするんだ。』


『お前は不思議だ、俺たちの中に暖かい光をくれる。なにかわかるか?』

「なに?」

『笑顔だ。お前がありがとういったり、俺たちに話しかけてくれるたびに俺たちは不思議だった。お前の笑顔は暖かいんだ。』

神将たちにはちゃんと心から向き合っている。人間じゃないからという理由だった。はじめは。

でも徐々に、それは彼らだから、自然に笑みがこぼれた。

そして彼らも、次第にを受け入れてくる。



彼らは、高唹のように優しかった。

主の命だからではなく、本音できちんと接してくれた。

その暖かさをしった。




でも、記憶は共有できない。
できるわけがない。


別に過去なんて知らなくてもいいと忘れればいいんだ。と

最近そう思う自分がいるのだ。


信じたい。信じたいのに

心は拒絶しているの。
高唹は知っているの、しってて私に優しいの。


でも・・・。


彼らもまた同じなのでは?
とこの1週間すぎてから思うのだ。

神さまってこんなにも暖かい存在なのだと。


そう思えてきた。


矛盾しているのだ。

忘れててもいいと思う反面。
もしかしたら・・・という期待もある。


まだ、信じるのには、時間がかかる。

戻る