第二話 闇を切り裂け光の神




その夜、私は本宮で眠っていた。
不思議だった。今までで一番安らいで眠れた。

死ぬつもりだったのに、なぜだか、生かされていた。

・・・・・・

朝、起きると本宮に明るい光が差し込んでいた。
気がつくと、私は巫女衣装を着ていた。

近くにある神の気配が高唹なら、きっとこの服は高唹が着せたのだろう。

過去の世界にきたのなら、それらしき服装は目立つだろうし。

私は、高唹のために生きる。
そう心に決め。

本宮の扉を開いた。


するとそこには、すでに迎えが来ているようだった。

「高唹?」
。こやつらが、昨日いったものたちだ。』

「はい・・・えっと・・」

「はじめまして、安倍晴明といいます。」
です。えっと・・・そこの近くにいる人たちは神様・・・?」

間があいた。

『さすがだ。隠形してる神将たちを見抜くとは。晴明。こいつは、お前以上の見鬼と霊力をつけている。』

「なんと、それは・・・・それは。さすがは”高?神”の”巫女”ですな。」

『こやつは巫女ではない。私の友だ。ということだ。を泣かせでもしてみろ。呪ってやる末代までな』

「た、高唹?」

なんか怖い雰囲気がただよっているのだが・・・。


「わかりました。お前たち、挨拶なさい。」

すると隠形していた神将たちが顕現した。

『十二神将が水将天后です。』
『十二神将の風将の太陰よ』
『・・・・・・木将青龍。』

「えと・・・よろしく・・・。」

『では、。しばらくそのものたちと暮らせ。なにかしでかしたら、すぐに呼べ、呪ってやる』

見れば太陰がすごくおびえていた。


しばらくの別れを高唹に告げ、私は晴明の式神である太陰の風で安部邸へ向かった。

・・・・・
おそらく、屋敷内の庭であろうとこに下ろされた。


「わっ・・」
太陰の風があまりにもすごかったので、着地でよろけてしまった。

が、青龍に助けられた。

「あ・・・ありがとう」
『・・・早くたて。』

急いでたつと、晴明の部屋へと連れて行かれた。

「あの・・・晴明さん?」
「なんでしょうかな?」
「高唹からはなんと言われたんですか・・・?」

「友を預ける。丁重にあつかえ・・・と。」

よかった。過去やら死を決意したことなど言われていたら、私はこの世界でも人を嫌わなければいけないのだから。

さん。悲惨な過去をお持ちとも聞きました。内容は聞いてはおりませんが・・・」
「内容は・・・言えません。」



「そうですか・・・。話す気になられましたら、いつでもおっしゃってください。青龍。」

『なんだ。』

「それと、太裳。」
『お呼びでしょうか?』

「この方の護衛と世話係りを。」
『断る!』
「しかしな、青龍。わしが高?神に呪われてもいいのか?」


呪ってやる、末代までな

『・・・・ちっ』
「太裳もいいか?」
『お受けいたします。』

「あの・・・護衛って?」

私はそんなのは必要ないはずだ

『それは様の霊力と見鬼がとても高く、あやかしの標的になってしまわれるからです。』

すると、金髪の美女が姿を現した。

『ここは、晴明が結界をはっているが、念のためだろう。』

すると、赤い髪の人も現われた。

「天一、朱雀。異界から戻ったのか」

『はい、異界で、玄武の水鏡で様をみておりました。』
『晴明に危害がなさそうだと判断した。異界の十二神将はを滞在することを認めた。』

「・・・やはり私ここにいないほうが。」

「いえ、こいつらが勝手に申してるだけです。ここの者はみな、貴方がいてもいいと仰っているのですよ。」


「・・・・お世話になります。」

『それでは、様。お部屋に案内いたします。』

太裳が、歩き出した。
私はそれについていった。

後ろを青龍が隠形してついてくる。


「ここには、何人住んでいるの?」

ふと思った。
ここには晴明だけではないと思う。

人間と天狐の間に生まれた晴明。
だが、純粋な人間がいないとも限らない。

『ここには、晴明様と晴明様の2番目の息子夫婦の吉昌様と露樹様、そしてその子供、晴明様にとっては孫にあたります、昌浩様。そしてお預かりしている姫の彰子姫がおられます。』

「・・・そっか。」


部屋につくと
女の人がいた。

「お父様から聞きました。さんですね。私は露樹ともうします。着物をもってきましたので、これを着てくださいね。それと、何かあればなんでも聞いてくださいな」

というと出て行った。



「・・・・人間・・・」

『人間がどうした。』

青龍が問いかけてくる。しかし私にはその声は通り過ぎていく。
私は、少しおびえていた。
人間・・・人間がこの家にいる。

壁に寄りかかり、すとんと座り込む。


様?どうかされました?』



私は・・・



私は・・・



「人間が嫌い・・。」

戻る