第一話 光目指すもの、暗い闇にあり
もう自分の居場所なんてどこにもない。
死んでしまったって、だれも気づかない。
ねぇ。神様。なぜこの世は平等ではないのでしょうか?
・・・・・・・・・・・・・・・
ここは、京都、慣れた土地である。
そこに私は生まれた。
しかし、
別に生まれなくてもよかったのだ
私は、望まれたわけでもないのだから。
何ももたずに身体ひとつでこのなれた土地に近い山へと入り込んだ。
本来なら樹海とも呼ぶべきところにいきたかった。
さすがに私は高校3年生。
そんなに遠くにもいけるはずもない。
死ねればいい。
それだけだから。
気がつくと、ずいぶんと上の方に来ていた。
死ぬつもりが登山?
笑っちゃう。
「なぜ、神は与えるものは平等ではないんだろう。」
ふとつぶやいた。
『ほう、これは珍しい客人だな。』
ふと後ろのほうから声が聞こえた。
だれもいないと思っていたのに・・・。
後ろを向くと、やけに神々しいオーラをまとった女性が立っていた。
「・・・誰?」
『名を名乗るはまず己からと習わなかったか?』
フッと笑いながら私を見る。
「私は・・・・・・。」
『か、良い名だ。私は高?神。だ。しかし、お前はずいぶんとまた面白い。この貴船の竜神。高?神の聖域で死のうとは。』
・・・・神の聖域・・・?
ならばこの人には失礼に値するのだ。
「すみません。場所を変えます。」
『よい、お前は死なずともな。お前の願い、己を知り尽くすものたちから消える。だな』
するとたかおかみは、私の額に人差し指をそっと置き念じた。
『・・・・極度の人間嫌いか。お前の過去を見させてもらった。このたかお、情けをかけてやろう。』
「高?神?」
『高唹だ。お前にはそう呼ばせてやる。』
「私の過去をみたといいましたね?」
『あぁ、神にはそれくらいの力はある。』
「神・・・さまはなぜ平等ではないのですか?なぜ私だけ闇に閉じようと」
つらい過去。暗い闇。
『神は人間にあまり関与しない。その者がたどったのは神は関係ない。・・・がお前の過去はあまりにも悲惨だ。お前を過去の世界へと送ろう。』
「過去?」
『心配せずとも、軽く千年前だ。人間嫌いといったな。ならば、お前を人間であり、人間ではない場所へと居候させるようにしよう。』
声が響き渡ると同時に
視界が真っ白になった。
暖かい。
ふとそんな風に感じた。
そういえば、誰かとこんなにもしゃべったのも久しぶりだったかも。
少なくても、高唹の神は人間ではない。
だから、高唹の神は嫌いじゃない。
そんなことを考えていると周り景色が戻った。
声が響き渡ると同時に
視界が真っ白になった。
暖かい。
ふとそんな風に感じた。
そういえば、誰かとこんなにもしゃべったのも久しぶりだったかも。
少なくても、高唹の神は人間ではない。
だから、高唹の神は嫌いじゃない。
そんなことを考えていると周り景色が戻った。
・・・・・・
「千年前なら・・・平安あたり?」
『そうだ。』
ふとつぶやいた言葉は同じ声の主で同意された。
「高唹の神?」
『お前の知っている高唹ではないがな。千年前の高唹だ。まぁ同じようなものだがな。』
「どうして私によくしてくれるの?」
『・・・お前がいったのだろ。神はどうして平等ではないのだろうと。ならば平等であるようにお前を導いてやろうと思っただけのことだ。』
「そっか・・・ありがとう。私ね、人は嫌いだけど、高唹の神は嫌いじゃないよ。」
すると高唹の神は笑い出した。
『そうか、お前は面白い。お前を友と呼ぼうか。』
「友?」
『あぁ、私の友だ。ならばよい環境でお前を導かなければな。・・・・・人間と天狐の間に生まれし陰陽師、安倍晴明、やつには12の神が従えている。』
「12人も?じゃぁ、晴明ってとてもすごい方なのね。」
『まぁ、霊力、見鬼ともに優れている。まぁ、お前はそれ以上だとこの高唹は買っている。なんせこの高唹の友だ。それくらいはある。』
友と、何度もいってくれている高唹の神はとてもやさしい神だ。
私の過去をしって、なお、友と呼ぶのだから。
「もしかして・・・そこに居候するの?」
『あぁ、この高唹がそれとなくいっておこう、明日にはお前を迎えに来させる。』
「あの・・・高唹の神。」
『何だ?』
「・・・そこにいったらもう高唹の神には会えないの?」
『会える。友のためだ。望めば近くに現れよう。まぁ、たまにはお前が貴船に現れればよい。』
この短い時間のなかで、こんなにもすばらしい友ができた。
高唹の神は私の唯一の光だ。
とても、大事な大切な友。
『お前には、この高唹がついている。心配するな。今日は、本宮で休むといい。』
「ありがとう。高唹の神」
『いっそ、高唹と呼び捨てでもいいぞ。』
と笑うと高唹の神は消えていった。
高唹・・・
私の唯一の光。
貴方が私に優しくしてくれた。
ならばあなたを私の持つものすべてをかけて誓おう。
大切な友。高唹。